【バス旅DATA】
●鉄道
路線:臺灣鐵路
乗車ルート・運賃:台鐵台北車站→台鐵桃園站 66元(自強號・片道)
乗車時間:30分
●バス
路線:桃園客運5053(桃園後站→龍潭站)、5096(桃園總站-大渓總站)、5106(大溪總站-霞雲村)
乗車ルート・運賃:5053桃園後站→梅花社區 18元、5096梅花社區→新街尾 24元、5106大溪總站→水流東 34元
乗車時間:1日(観光時間含む)
※運航時間・運賃・路線は変更される場合があります。
【バス旅ポイント】
①ローカル度満点の台鐵で鉄道の旅も満喫!
②お菓子好きは見逃せないチョコレート共和国
②趣のある大溪老街を満喫しよう!
③大溪老茶廠へは遠くても足を延ばすべき!
⇒ 台北市バスの概要
今日はバスがない? 最初からいきなりハプニング!
台北站より臺灣鐵路(台鐵)に乗って桃園站へ。いつも思うのだが、台鐵はローカル感が半端なく、異国感というより私の中では異空間? の鉄道に乗っている気分になる。桃園站について観光案内の窓口でバス乗り場を尋ねる。この日は台灣好行バスの小烏來線で、桃園市の魅力的な工場見学に行くつもりだった。だが、駅で台灣好行の窓口のスタッフにパンフレットを見せ、この小烏來線に乗りたいと言ったら、「小烏來線は週末のみの運行ですよ」と丁寧に言われた。「え? このパンフレットにはどこにもそんなことは書いていないですよ」と言うと、その親切なスタッフは、「ほんとだ」とひと言……。小烏來線は台灣好行の中で一番利用率が少ない路線だということで週末のみの運行なんだとか。あ〜そうなんですか。と口から出たと同時に、じゃぁ、どうしようと頭の中でプラン変更。
とにかくバス停に行けばなんとかなると思い、目的地に行けるバスのナンバーとバス停の位置を確認して仕切り直した。バス停は台鐵桃園站を出て5分ほど歩いた桃園客運總站の大きな建物の1階にあった。確認した番号のバスがなかったが、ちょうど止まっていた5030のバスの運転手に「『巧克力(チョコレート)共和國』へ行きますか?」と聞いたら「行く」とのことだったので、急いで乗り込んだ。
私と友人、そして数人の年配の方々を乗せてバスは走り出した。桃園の街並みを眺めながら、まずは『巧克力共和國』の近くのバス停、梅花社區へ到着。見回すと信号機に『巧克力共和國』と矢印の看板があったのでその方向へ。が、その先にあったのは、両側に何台もの車が駐車されているトタンの壁で囲まれた道。思わず「この道で合ってる?」とつぶやいた。少し歩くとトタンの壁にカラフルな『巧克力共和國』と書かれた垂れ幕。うん、合ってるか。と納得したものの、まだやっぱり不安……。そこを抜けると田畑の景色が広がり、その奥にそれらしき建物が見えてきた。それを目指してさらに歩いた。駐車場側からメインゲートへ行き建物の中へ。
チョコ好き必見の『巧克力共和國』
すぐに目に付いたのはこの館のキャラクター。ロボットのような、はにわのようなフォルムとあどけないつぶらな瞳、大きな耳がかわいい。ここは台湾のチョコレート菓子メーカー宏亞食品が運営している工場を兼ねた施設。もう少ししたら工場見学ができるということだったので、まずは2階に行きチョコレートについて紹介してあるボードを見たり、1階のギフトショップを物色したりした。
ガイドさんが来て、私たちを外まで誘導。園内を走るカートに乗り、隣にある工場まで。チョコレートの製造工程の説明を受け、実際にチョコレートを製造している工場内のレーンを見学する。B品として弾かれる工程や、包装される工程などは見ていて楽しめた。ガイドさんから簡単なクイズも出され、答えるとこの工場で生産されているクッキーがもらえた。子供たちはチョコレートづくりの体験ができたりもする。1階奥には、雰囲気のいいレストランもある。過去には台湾のトレンディドラマのロケ地としても使われていた。
彫刻が美しいバロック様式の『大溪老街』を散策
先ほど降りた梅花社區バス停に戻り、バスを待った。次の目的地は『大溪老街(ダーシーラオジェ)』。老街に行くバスは5096。それに乗り、乗客ウォッチングを楽しんだ。周りを気にしながら、こっそりとおにぎりを食べるおばさん。運転手は大きな声の台湾語ですぐ後ろに座っていたおばさんとおしゃべり。まるで近所のおじさんが友達を乗せてドライブにでも行くような感覚のにぎわい方。顔なじみなのだろう。途中の停留所で乗って来たおじいさんは、ドアから近い一番前の席の踏み台のところにちょこんと腰を下ろした。とてもかわいくておちゃめだ。きっといつもそうして乗っているのだろう。窓からは僑愛小学校の門から続くハート型の柵が見え、「学校名と合っているなぁ」などと妙に感心。そうして『大溪老街』の入口付近のバス亭に着いた。
メイン通りとなる和平路の商店街は1850年頃から発展しはじめたが、1896年に旧日本軍の砲撃を受けて炎上。後に日本総督府が都市計画を実施し、当時流行だったバロック様式の建物を建てた。ここはとても保存がいい状態で建物が残っている。石に彫られた彫刻はどれも美しい。それを眺めながら歩くと豆干の店が何軒か目に付いた。
豆干とは、やや堅めで弾力のある台湾版煮込み豆腐。どうやら大溪老街の名物料理のようだ。お腹も空いてきたので、老舗の『黃大目本舗』(桃園市大渓區和平路39号)に入ってみた。鍋の中でグツグツと煮込まれている豆干。どれを食べるか指差しで選ぶと、お皿に切ってタレと香菜をのせて出してくれた。素腱(豆干の一種)、黑豆干、海帶(わかめ)と、こんもりお皿にのってきて50元。かなりお値打ちだ。店の前の椅子に座り、添えられた竹串でおいしくいただいた。
食べ終わるとまた老街散策を再開。突き当たりの川の方まで行き、少し風に当たってから、引き返すことにした。川のすぐ近くに何ヵ所かの廟がある。中でも普濟堂と福仁宮はとても華やかで立派だ。次の目的地は〝美しすぎるお茶工場〟といわれている「大溪老茶廠」だが、バスは大溪總站バス停から出発。5096で大溪總站バス停に行けるが、聞いてみると、康莊路を通ればここからそんなに遠くないとのことだったので、歩いて行くことにした。
工場とは思えないサロンのようなセンスのよさ
400メートルほど歩いただろうか、大溪總站バス亭は桃園客運の立派な建物だった。係員に『大溪老茶廠』への行き方を確認すると、バスは30分後にしか来ないという。仕方ないので周辺をぶらぶらして待った。次に乗る5106のバスは山の中を走るためやはり小型だった。列に並んでバスに乗り込む。バスが走り出した。しばらくして気づいたのはいちばん後ろに座ったおじさんが、私の斜め後ろに座った若者にしきりに話しかけていたこと。おじさんはありとあらゆる話題でおしゃべりをする。
自分の家では鶏を20羽飼っているだとか、自分は客家人だとか。若者がどんな顔をして聞いているのか気になり振り向くと、イヤそうでもなく、普通に話を聞いてあげていた。話し方から台湾人ではないようだったので、「どこから来たの?」と聞いてみたら、香港から1人で来たとのこと。そんな旅であれば、おじさんのおしゃべりも楽しく聞こえるのかもしれない。若者は途中で手を振って降りていき、今度は私たちがおじさんの聞き役に! 後ろを振り返るとバス酔いするので、前を向いたままおじさんの話に相槌を打つ。私たちが降りる水流東バス停に着くと、そのおじさんに鍬を入口まで移動させて欲しいと言われたので、移動させて下車した。
バス停から、復興路二段732巷の坂を下りて『大溪老茶廠』へ辿り着く。工場を想像していたが中に入ってみると、とてもおしゃれなお茶のサロンといった感じ。程よい加減で照明と自然光が融合して、茶葉や湯のみなどが見やすく配列されている。もう少しすると館内ガイドが開始されるとのことだったので、案内してもらうことにした。
1926年に5521平方メートルもの広大な面積に建てられた『大溪老茶廠』は、以前は「角板山工場」という名だった。最盛期は1日に3交替で働き続け、日東紅茶を生産。製茶機も1日中動かし続けるほどの忙しさだったのだとか。茶葉が高品質だったことから「黑金」と呼ばれていた。1956年に工場は大火災に遭い3年後の1959年に再建された。2階は当時の様子がそのまま保存されている。ちょうど私たちが訪れたときは、結婚写真の撮影がされていて、とても神秘的だった。1階の山側にはお茶が飲めるレストランもあり、館内はどこを切り取っても絵になるセンスのよさ。山の奥にある素敵なお茶工場が大のお気に入りになった。列車やバスの中の出来事も含めて、今回の工場見学ツアーは、かなり楽しかった。ここまで足を延ばしてよかったな。
【施設データ】
◆巧克力共和國
住所:桃園市八德區介壽路二段巧克力街底
入館料:大人200元、身長90センチ以下無料
開館時間:9:30〜17:00 ※入館券販売は〜15:30(土日〜18:00 ※入館券販売は〜16:30)
休館日:月
ホームページ
◆大溪老茶廠
住所:桃園市大溪區新峰里1鄰復興路二段732巷80号
入館料:無料
開館時間:10:00〜17:00分(土日〜17:30)
休館日:なし
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