【バス旅DATA】
路線:大都會客運20/永春高中 – 衡陽路線
乗車ルート・運賃:世貿中心(基隆路)→博物館(襄陽) 15元/1回
所要時間:半日(観光時間含む)
※運航時間・運賃・路線は変更される場合があります。
【バス旅ポイント】
①本数が多いから、ある程度自由に街散策が楽しめる!
②公園が多い路線!
③人気観光地「永康街」へのアクセスにも便利!
④台北市内の街の景色が楽しめる!
⇒ 台北市バスの概要
一番前のシートに陣取り、ワクワクの市バス旅行
路線20のバスは、台北市内の中心地・信義路を東西に走る最も利便性の高い路線のひとつ。ルートがMRT淡水線とほぼ同じなので、私はほとんど乗ったことがなかったが、バスの車窓から台北市を眺めてみたいという思いもあり、プチ市バス旅行に行ってみることにした。
MRT台北101/世貿站に到着後、1番出口から出てバス停を探す。はす向かいにあるバス停は、私が行きたい場所の路線ではなさそう……。そのまま直進し、歩道橋が見えたと同時にバス停を発見。「絶対あそこだ!」と“野生のカン”が働いた。歩道橋の下の横断歩道を渡りバス停にたどり着く。やはりそうだった。
バスはすぐに来た。そのまま乗り込む。運転席の斜め後ろのシートに座り、大きなフロントガラスから前方を眺める。昔からこの感覚がとても好きだ。
バードウォッチングもできる市民の憩いの場・大安森林公園へ
最初の目的地は大安森林公園(ダーアンセンリンゴンユェン)。バスは捷運大安森林公園站バス停に到着した。ここは道路の真ん中にバス停があるタイプだ。その道路の真ん中で降りて横断歩道を渡り、緑の生い茂る方へと向かう。子供たちの楽しそうな笑い声や、ママたちのにぎやかなおしゃべりが聞こえる広場。カラフルな遊具があり、思い思いに遊ぶ子供たちを横目に見ながら、ママたちは井戸端会議に夢中。ピクニックをしているグループもいた。「のんびりしていていいなぁ〜」と思いながらそこを抜けると、バスケットボールのコートが見えて来た。まだ時間が早いのか、誰もいない。きっと夕方になると、学生たちが来てバスケットを楽しむんだろうな。
ふと見ると、大きなレンズの付いたカメラを持ったおじさんたちが何人かいた。近くに行きそのレンズの先を一緒に見つめる。どうやら鳥を撮影(観賞?)しているようだ。この公園はバードウォッチング・スポットでもあるようだ。そういえば以前、珍しい鳥がたくさんいる公園があると聞いたことがあったことを思い出した。奥へ進むと池の中央の木々に無数の鳥がいた。その欄干には鳥の絵と名前が書き記されたボードが。覗き込むように見ていると、おばさんが寄ってきて話しかけてきた。
「初めて来たの? ここには本当にたくさんの鳥がいるのよ。この前は、この鳥を見ることができたの」
と、携帯電話のカメラで必死に撮ったと思われる写真を何枚か見せてくれた。お世辞にもその写真はきれいに撮れているとはいえないが、一生懸命撮ったことは十分に伝わってきた。私が日本人だと分かると、今度は日本に行ったことがあるなどと話しはじめ、和みのひとときとなった。もっと話をしていたかったけど、まだ最初の目的地。バス旅はこれからなので、後ろ髪を引かれつつ、キリのいいところでお礼を言って、大安森林公園を後にした。
人気の定番観光地・永康街で新発見!
路線20は本数が多いため、バス停にいるとすぐに次のバスがやって来る。いつ来るか、時刻表を気にしなくてもいいから安心&便利。お次は人気観光地・永康街(ヨンカンジェ)へ。信義永康街口バス停で下車すれば、永康街はすぐだったけれど、乗り過ごしてしまい次の捷運東門站で下車。永康街の中心まで少し戻ることに。そのおかげで見つけたのが、2016年3月にオープンしたばかりの石けん屋『N26手工皂研究室』(台北市永康街4巷26号)。センスのいい外観にも惹かれ、立ち寄ってみることに。
中に入ると、フワッといい香りがしてきた。こぢんまりとしていて小さいけれど、手づくり石けんやギフトボックスなどが、おしゃれにディスプレイされ、センスのよさが感じられる。壁側にはいろいろな種類の石けんがズラリと並べられている。思わずひとつを手に取ってみる。お店のスタッフいわく、保湿力が高く、お肌がすべすべになる白色馬賽皂や綠色經典馬賽皂がおすすめだそう。店を出て永康街の中心に向かって歩く。思わぬ発見に気分も上々。
街の中には、カラフルなイラストが描かれた壁や雑貨屋、小さなレストランなどがひしめくようにある。永康街の名物・蔥抓餅(ツォンジュアビン)の店には相変わらず長い列ができているし、マンゴーかき氷の店にも人だかりが。
永康公園を抜けてガラス張りの雰囲気のいい店を見つけたので入ってみた。この『宜龍』(イーロン・台北市永康街31 巷16号)は1987年創業の茶器専門店。伝統的な柄やモチーフの台湾茶器や東洋と西洋を融合させた斬新なガラス茶器などを販売している。茶器好きの私としては、目の前にある素敵な茶器にテンションも上がりっぱなし。
店頭にはティースタンドもある。喉も渇いていたので、メニューの中から日月潭荔枝紅茶をお持ち帰りでオーダー。再利用できるボトルで出てきたのにはびっくり! まだ続くバス旅のお供にもピッタリだし、お土産としてもなかなかいい。台湾中南部の日月潭で採れる紅茶は有名だ。それにレイシのフルーティーな風味が、乾いた喉を潤してくれた。ウキウキしながらボトルを持って、バス停へと歩く。
リスや恐竜?がお出迎え!
先ほど乗り過ごした信義永康街口バス停から再び20に乗り、二二八和平公園と台湾国立博物館へと向かう。車内から見える博物館の建物を通り越し、博物館(襄陽)バス停で下車。先に二二八和平公園へ行くことにした。大安森林公園よりも人が多いし、年齢層も幅広い。たくさんの学生たちが写生をしていたり、老人たちが思い思いにゆったり過ごしている。池の中央には中華風の立派な涼亭がある。
ふと前を何かが横切った。大きなフワフワ尻尾のリスだった。カメラを向けると近寄ってくる。この公園にいるリスは人間に慣れているようで、学生たちも同じようにシャッターチャンスを狙っている。あまりにも慣れすぎている攻撃的?なリスに学生たちも腰が引け気味。思わず目が合い、お互い苦笑。
公園の中ほどには大きなモニュメントがある。これは1947年2月28日に起きた『二二八事件』の犠牲者への追悼と平和への願いを込めて1995年に建てられた。私の目の前にはいたって平和な光景が広がっているが、ここは台湾の人にとってはとても重要な場所でもあることを改めて痛感しながら公園を後にし、台湾国立博物館へ。
とにかく、この博物館の外観はゴージャス。思わず気分も盛り上がる。中に入ると、なんとなくひんやりする。エアコンのせいもあるが、天井が高くつくられているので、開放感とその重厚な空気で独特の雰囲気がつくられているような気がした。ギリシャ神殿を思わせる構造に、イタリア製の大理石がふんだんに使われ、天井のステンドグラスもとても素敵だった。展示内容は定期的に変わる。
受付でもうひとつ向かいに建物があると聞き、そちらにも足を伸ばしてみることに。
横断歩道を渡り、土銀展示館の方へ。こちらは三級古跡にも指定されている建物。中に入ってみてびっくり! 大きな恐竜の化石たちがお出迎え。吹き抜けになった天井に向かってそびえるその姿は、迫力満点。思わず下からググッと眺め、上に行ってからもしばらくの間ジュラシックパークに思いを馳せ眺めていた。ほかにも、古代生物の化石や台湾固有種の動物のはく製などが展示されているが、私には恐竜のインパクトが強すぎた。ちなみに入口横には、日本勧業銀行時代の金庫室が一般開放されている。
市民の足としての役割が大きい路線20のバスだけど、有名観光地巡りや公園でのんびりしたりと、市内巡りにも十分使える便利な路線でした。