【バス旅DATA】
路線:葛瑪蘭客運1915(板橋-羅東)
乗車ルート・運賃:台北轉運站→礁渓轉運站 135元(片道)、243元(往復)
乗車時間:1日(観光時間含む)
※運航時間・運賃・路線は変更される場合があります。
【バス旅ポイント】
①無料の足湯や温泉施設が豊富!
②宜蘭名物の青ネギと鴨肉を食べよう!
③礁渓から南のエリアへの寄り道プランもOK!
⇒ 台北市バスの概要
長〜いトンネルを抜けると田園風景が広がる!
台北の東側に広がる平野部の宜蘭(イーラン)エリアは、情緒のある温泉地として台北の人たちに人気のエリアだ。高速道路が開通するまでは、山を越え、海を越え、車なら1時間半かかっていたが、全長12.9kmの雪山トンネルが開通してからは、1時間以内でアプローチできるようになり、台北からの日帰り温泉スポットとしてさらに便利になった。
トンネル開通に合わせて加わったのが、台北駅バスターミナルから発車する葛瑪蘭客運と、台北市政府バスターミナルから発車する首都客運Capital Starの高速バス宜蘭行きだ。
台北駅の北側にある台北轉運站バス停から葛瑪蘭客運のバスに乗って、礁渓温泉(ジャオシーウェンチェン)へ出発することにした。階上の待合室には、ブルーの車高が高いスマートないでたちのバスが待っていた。近郊とはいえ、このバスは長距離バスと同じ扱い。ターミナルを出て、しばらく市内を走り、高速道路へと入ってゆく。緑の山々が重なり、トンネルが多いルートになった。坪林というインターチェンジを過ぎると、最長の雪山トンネルへ。内部では出口までの残りの距離が1km毎にカウントダウンされる。3、2、1、そしてトンネルを抜けると、東台湾の平野、蘭陽平原が広がっていた。バスはここで高速を下りて、一般道路を走り、いで湯の地として人気のある礁渓温泉に到着する。
小川が流れる温泉公園で「温泉魚」に身を任せる……
所要時間、1時間弱。国道沿いにある礁渓轉運站でバスを降りて、散歩してみる。大通り沿いには数軒の温泉大飯店の看板。旅館、というよりホテル感覚の宿泊施設が多い。国道を外れた所に台鐵礁渓車站があった。駅前通りはややひなびた感があり、奥の方の旅館街の方が立派なつくりの建物が多いような印象だ。思うに、バスルートがもてはやされる一方、この駅から鉄道で移動する利用者は減っていて、取り残されたような感じがする。
駅から市街地が広がる方へ5分ほど歩いていくと、『湯囲溝公園(タンウェイゴウゴンユェン)』(宜蘭縣礁溪鄉德陽路99-11号)がある。ここは日本人技師が景観デザインを担当したそうで、和風庭園っぽい雰囲気だ。源泉を含んだ小川が園内の中央を流れていて、ちょうどよい温度の源泉が流れる足湯の施設がいくつか配置されている。この足湯は無料で楽しめるのだ。木造の建物にある男女別大浴場は、わずか80元で利用できる。さらに年季の入った公共浴室もあった。そこは公園ができる前からある地元民の利用する無料の温泉施設で、男性専用。女性用は見当たらなかった。のぞいてみると、主にお年寄りに利用されているようだ。
家族連れが足を入れている場所に行ってみると、そこに「温泉魚」と書いてある。水中をのぞくと、小魚がたくさん入っていて、みんなの足をカジカジしている。近年話題となっているドクターフィッシュだ。初体験の私もソロソロと足を入れてみると、ウヨウヨとお魚たちが集まってきて、口でモゾモゾと足をかじられる。ピリピリした感覚が新鮮だ。
よく見てみると、周りには温泉魚の足湯屋さんがあちこちできていて、中には種類の違う魚を用意しているのをウリにしている店もあった。見てみると、大きさもさまざまで、「触られ(かじられ)感」の違いを感じられるらしい。
24時間営業の温泉施設で湯浴みそして特産の青ネギ料理を賞味
どこのお湯に入るか迷っていると「源泉に近くていいよ」と教えられ、公園の北側のお寺の先にある「春和浴池(チュンホーユィチー)」に行ってみることにした。メインの家族風呂が並んでいるのだが、露天の大きめの湯船もあって、地元の人の憩いの場になっていた。ストレッチをしたりするお年寄りのフィットネス空間でもあるようだ。
結局は『源來如池(ユェンライルーチー)』(宜蘭縣礁溪鄉德陽村德陽路66巷8号)という、旅館街の中にある温泉施設に入ることにした。ここは24時間営業で、浴室も清潔、湯船も大きい。個室風呂(2人用)は1回40分で200元。お湯は熱いので、水も加えて温度を調節。炭酸水素ナトリウム泉で無色透明、肌にねっとりとした感覚が残る。
温泉を満喫したら、次はお腹の方が。ということで、レストランを探すことに。海鮮料理店もあるのだが、ぜひ食べたかったのが特産の青ネギ。三星地域の青ネギがいちばんおいしいことから、「三星葱炒肉(サンシンツォンチャオロウ)」などとメニューに出ていたりする。ネギ入りクレープの「葱餅(ツォンピン)」もお好み焼き風でおすすめ。「卜肉(プーロウ)」は、豚肉にかるくコロモをつけて揚げた料理。「糕渣(ガオザー)」は、揚げだし豆腐のようなふわっとした歯ごたえが特徴の一品。それとスモークした鴨が絶品なので、お酒のおつまみに、これも注文。心身ともに満足して、この日は台北に戻った。
さらに足を伸ばして蘇澳で冷泉体験も
蘭陽平野は、人口の多い宜蘭の中心街と、北側に礁渓、南側には見事な田園風景が広がり、そして羅東(ルゥオドン)の街へとつづいている。羅東や宜蘭はローカルな香りが漂う街で、特に羅東夜市の屋台群はこの周辺一の規模を誇る。礁渓の後に立ち寄るコースも可能だ。葛瑪蘭客運1915のバスは羅東が終点だが、礁渓—羅東間は乗車できないので、國光客運1766南方澳行きバスを利用し、礁溪湯圍溝バス停から羅東站まで行く(片道62元)。帰りは1915でダイレクトに台北市に戻ることもできる。
さらに時間がゆるせば、せっかくなので羅東のさらに南側数キロ先にある南方澳港(ナンファンアオガン)まで足を延ばしてみるのもいい。日帰り旅行としては少しハードだが、港では海鮮料理が味わえる。ここで日本人なら興味をそそられるのが蘇澳(スーアオ)の冷泉。冷泉の湧いている『蘇澳冷泉公園』へ行くと、石が敷きつめてあり、その石の間からポコポコと炭酸の粒が立ち上がっている。入って静かにしていると、身体に水泡がまとわりついてくる。普通の温泉とはひと味違った体験が味わえる。冷泉なので夏がおすすめだ。
羅東からは同じく1766南方澳行きバスで中山バス停下車(片道49元)。鉄道なら台鐵蘇澳火車站。『蘇澳冷泉公園』までは、どちらからも徒歩で5〜6分程度と近い。